GW中の更新はまばらになると思います
マンガ大賞2024の大賞受賞作ということで読んだ
情報:
・連載場所:アフタヌーン Web増刊 &Sofa (不定期)
君と宇宙を歩くために - 泥ノ田犬彦 / 第1話 ワン・ジャイアント・リープ | &Sofa
・連載開始:2023年6月
・出版社:講談社
・内容:
不良の小林は学校では寝てばかり
そんな日々を送る中で、(多分)障碍者の宇野がクラスに転校してくる
宇野は当たり前のことをやるのに一苦労だが、めげずに日々を生きている
そんな姿に感銘を受けた小林も、自分を見つめなおす…
多分ってのは作中で宇野が障碍者と明言されていないから
ちなみにタイトルの宇宙とは理解者のいない人生を暗喩していますので、宇宙要素はそんな無いです
・評価
★★★★☆
光の物語だ…
人の良い所を拾って世界が良くなる、性善説にて綴られる青春譚
クラスに来た(多分)障碍者っていう、少し触れにくい所に光を当てるのが現代的だなと思った
この作品を性悪説に基づいて書くと聲の形になるって感じ
とまあこの作品は障碍者を肯定的に書いていて明るい内容なんだけど…
頭空っぽに「イイハナシダナ~」と言い切れない気持ち悪さも内包する
何故なら障碍者に対して”あなたはどうおもいますか?”のような問いを投げられているような気分になる
自分の障害者に対するスタンスが問われる
障碍者をどのように捉えていたか、そこにこの作品を素直に楽しめる/楽しめない があると思う
そこも込みで考えさせられるからマンガ大賞になったんだろうな、と評価する
以下ネタバレあり感想
↓
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・障碍者に対して無知であるということ
この作品を読み始めてまず思うことは
「宇野、何らかの疾患を持っている人間だな」
ということ
言動に独り言が多く距離感に難がある
大きな音が苦手
好きなことにご執心
明らかに健常者ではないキャラ
序盤に朔が宇野に「ヤバイ奴」と言いながら好奇心で近づいたけど、割とこの姿勢に苦い顔になった
結局見下しているというか線を引いているんだよな
”ヤバイ”って扱いで入っていくから相手を関わる価値無しと切り捨てている
朔は宇野が”テザー”と呼ぶ、困ったときに見るためのノートを取って中を見るが、電話が来るとすぐにその場に適当に置いた
自分の好奇心を満たしたから関心を失ったのだ
”やばい転校生”という存在に興味があっただけで、宇野本人に興味があるわけではない
ということだ
でもこの話見て、自分は朔側の人間だなあと思った
障碍者に対して無意識に見下しているから関心を持っていない
例えば、宇野みたいな存在って自分も人生で見たことあるとは思うんだけど…
インターネットで調べた感じ自閉症が近いのか?
しかし自閉症ってぱっと言われても想像できん
自閉症の人と話したこともない(と思う)し、道行く障碍者を一緒くたに”障碍者"としか見ていなかったから
何の症状か明確に表すことができない
とまあ無自覚に暴虐を行う朔に対し、ノートを渡してあげる小林が眩しすぎてなあ
いいシーンなんだけど結構苦しいよ
しかも宇野はメモを渡されたとき、「返ってきたのは初めて」と言ってて、「ああそうだよな」と思ってしまった
別に宇野も人間なのにな
健常者のメモなら拾って渡すのに障碍者にはしないのが当たり前?
自分の無意識に恐怖する
そして漫画としては、ここでメモを投げ捨てるのが 聲の形 なんだよな
西宮の補聴器をパクッて捨てる将也
正直あっちのほうが”普通だよなあ”なんて思ってしまう
あれ読んだ当時は大学生かぁ
当時はキッツう~って思ったけど今もあんま感想変わんないな…
時間の経過は無条件に人間性を成長させるわけではないと痛感
ちなみに私は聲の形では植野が一番共感できるキャラでした
そんな人間です、昔も今も
・正しく自己認識するということ
宇野は自分がまともに対人コミュニケーション出来ない事を理解し、対策している
小林も「バカであること」を自覚し、そして出来ない自分が周囲に知れることに怯えていることも理解する
そして宇野を見て自分を理解し対策していく…
自己認識を正しく持ち、自分の目標を達成するために枷を外す
所謂自己実現のプロセスをしっかり経ている
そんなことが高校生で出来ているの偉すぎだろ…
眩しい、苦しいよ
いい話ばっかりなのに、正しさに焼かれる…
年取って思うけど、自分のダメなところと向き合うって意外とエネルギー使うんだよな
人間怠惰だから、そんなやりたくないことにエネルギー使いたくない
なので言い訳で固めて逃げてしまう
年をとればとるほど自己の正当化と言い訳の理由付けがうまくなっていくので、自分が固まっていってしまう
そうして逃げ続けた結果が世の中のクレイジー老害…
バカに出来ないよな、あれを他人事とおもわないで自分を修正できる人間であり続けなければいけない
そしてこうやって価値観を直すことを”若いねえ”みたいに思ってたんだけど、これも言い訳の一つよな
怖いよ、段々若いって言葉を諸々の言い訳と免罪符にしそうになる、というかすでにし始めている
また一つ自己認識できた
これからは”若いね”みたいな表現は避けていこう…
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なんだかんだ印象深いので、長い目で見れば読んでよかったと思えるタイプの作品だと思う
終わり