日本公開日が2024/7/5の映画の感想です
・内容
1957年のエンツォ・フェラーリの私生活
・評価
★★☆☆☆2
往年のレースシーンは音とか迫力あってよい
が、話自体は陰鬱で評価微妙
フェラーリといってもエンツォ個人をフォーカスしている上に負の側面が軸でなあ
見終わった時に得られるものがあまりない感じ
しかも1957という1年だけ抜かれた内容だから、結視聴者側に前提知識を求められるなあと思う
以下ネタバレあり感想
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・エンツォ
フェラーリの祖であるエンツォ・フェラーリは、フェラーリを起こしてレースに出るために車を売る大のレース好き
F1を見ている人間としてはその程度の認識だったが…
今回の映画では人間としての姿が描かれていたね
映画を通してエンツォに対して思ったことは、情熱があり情が深い人だと思った
・毎朝息子の墓参りをする
・愛人の事を定期的に会いに行き、金銭支援もしっかりする
・妻とは冷え込んでも、生きている間は子供を認知するなという要求を受け入れる
・ドライバー人事でも、ポルターゴを一度は降ろしつつも他レースでは起用する
・レース振り返りでも説教時も過度に自分たちのドライバーを貶すことなく発破をかける
凄く良い人、当時カリスマがあったんだろうなって感じ
結局元妻が最後まで見捨てないのとかは彼が本当は気遣いの出来る人だと知っているからなんだよな
ただ映画としては基本的に妻との不仲が軸になって進むから、決して良い人には見えない
しかも浮気したり従業員を酷使したり死亡事故の嫌疑をかけられたりと良い印象はかすんでるのがね…
妻については可哀そうな人だな
息子が死んで時が止まってしまっていたね
エンツォは新しい子供や事業に次のレースと前へ進んでいくのに対して、過去の良かった時にずっと取り残されて苦しんでいた
そして姑に跡継ぎが1人じゃ足りなかったなんて言われる始末…
発狂もするわな…
妻はエンツォにやたらとかみついた小切手で駆け引きしたりとか、決して印象の良い人ではなかったわけだが…
正直この映画での扱いはどうなんだ?
子供を失い愛人が発覚するなんて苦しい時期の見苦しい自分の一面を切り取られてこの時代に流すのは…
彼女の生涯に泥を塗る行為じゃないのか?
エンツォと違って妻の話って余りないだろうし、本当にこれでいいんですか?って感じ
なんかねぇ
今回は1957年単体だけだからイマイチエンツォと妻の2人とも印象そんな良くならないのがね
同じように個人にフォーカスした伝記だとオッペンハイマーが近いけど、あの作品はしっかり年代を跨いで学生時代とかがあったからこそ核爆弾を作るまでの過程に納得がいくわけで…
今回2人の話をするにしても、最初から冷え込まれるのじゃなくて馴れ初めとか息子の死に際とか何かしらバックボーンを出してもらえたほうがもっと2人の印象は変わっていたんじゃないか
そう思えるのが残念なところだな
まあ印象よくあってほしいってのは、F1でフェラーリを応援しているファンとしてはエンツォは紆余曲折あったけど現代にまで続く名門を起こした偉人だから偉大であってほしかった
品位を下げるような内容に感じなくもないというのが癪に障る
というだけなのかもしれない
・ミッレミリア1000マイル
ミッレミリアってなんだ?知らないぞ?ってなった
調べると1000マイルのイタリア横断レースが毎年開催されていたんだね
で、ポルターゴが観客に突っ込んで胴体が千切れているシーンが出てくるわけだが…
これ実話ベースなんだね、Wikipediaに書いてある…
9人死亡とか、子供も含まれるとか、ポルターゴ自身が胴チョンパされたとか本当なのかよ…
クラッシュで吹っ飛んで人を倒すシーンを全くぼかさずに描写されていて非常にショッキングなシーンだった
ポルターゴがレース前に彼女とキスしているのは、本物の写真も残っていたのか…
つまり知っている人は、ポルターゴが出てきたら「ああ死ぬのか…」ってなるし、彼女が出てくれば「あの写真の…」ってなるわけだ
しかもこの年の事故でミッレミリアは開催が途切れてしまったのか
知らないわけだ…
逆にスタンドダイブしたルマンは良く途切れなかったなとも思った
てかこの辺の時代のモータースポーツは過酷すぎるな
安全性があまりにも欠如している
現代はクラッシュテストに始まりコースのライセンス制やドクターヘリの航空不可でのレース中断等様々な方面で安全性を高められているが、こういった事件の積み重ねで進化したと思うと歴史を感じるな…
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終わり