この作品って、別に読んでる時は「特別面白い!」とか無いけど、次の巻を手に取ると内容を結構覚えているんだよな…
印象深い=好み ってことなんだろうか
自覚は無いけど「自分はこの作品好きなんだろうな~」と思いながら、また新刊を手に取るのであった
・内容
冬コミでハニエルコスをして、マリン大出世の巻
以下ネタバレあり感想
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・劇中作のクオリティ
棺に続いて天命、どっちもあらすじに気合入っているよなあ
天命は特に断片的な作品情報がしっかり魅力的なのが凄い
”神が送ってくる敵がまともな人間の姿をしていないのは、関心が無いから”
なんて一朝一夕で考え付く設定とか展開では無いよな
設定と重要シーンの描写がしっかりしている辺り、これ作者の没案とかなんだろうか…なんて思ったりする
棺と天命、2作に共通するところは陰鬱な感性で掛かれている事なんだよな
そう考えると意外と作者は明るい恋愛ものよりダークファンタジーのほうが好きなのかもね
でも絵は明らかにマリンのような明るい女の子が映える絵だよな…
その辺も作者が絵をコントロールしているのだろう
ハニエルの暗い感じとかスゲー上手いもん
幅の広い人だな…
というか最近のこの作品の面白さは、劇中作のクオリティの高さをコスプレ先のキャラの魅力に反映する事で生まれているよなぁ…
これ一番難しいことを成功させていると思うの
今迄読んだ作品って、基本的に劇中作が作品本編と肩を並べる面白さを感じたことは無い
基本的に劇中作って雰囲気と設定フレーバーで、キャラの内面を表すためのツール以上の価値を持たせることは無かったよな
だって普通に面白そうな設定なら、それを作品として世に出しているはずだもんな
しかし棺も天命も面白そうなんだよあ
出し惜しみなく2本も面白そうな設定考えるの普通に凄い
そしてその作品の情報を断片的に出すのがうまい!
劇中作を”面白そう”と思わせるための情報の質が良いと思う
必要な情報が過不足なく出てくるので説明チックではなく、キャラがうまく発言することで”この作品は作中内で面白いと思われています”という価値観の押し付けではなくなる
つまりバズツイのような明快さがある
こういうテキストセンテンスが実はビスクドールという作品の面白さを一番支えている要素なのではなかろうか
なんて思ったりするのでした
・五条くんの気持ちについて
今回はずっと薄暗かったね~ごじょーくん
「虜にさせるように振る舞って下さいなんて言わなければ良かった」
だよね、あの最後消えていたフレーズ
言わなければよかった、ねェ
何で言わなければよかったのかな?
個人的には五条は
「表現者としてのまりんに嫉妬した」
のかなあと思った
今回は一目惚れについてが一つのテーマだったと思うのよね
で、五条も衣装を頑張って作った
衣装で人目を惹きたかった
けど、結局はまりんの表現力がこれだけの人だかりを作った
と五条は捉えているんじゃないのか?
表現者として超えたいってこの巻の冒頭でまりんに言ったし、事実として囲みが出来て作者も言及するほどの成果を得た
なのに不満なのは、”自分の予想を超える結果が持たされたのはマリンの割合が大きい”と自覚しているからなのでは…
なあんて考えたけど、”今更気付くなんて”ってフレーズから、”独占欲”から来た色恋に絡めた思考であるとは思われるんですけどね笑
ただこのシーンは単純に好きと気づいて独占欲があるとか、そういう話でもないと思うのよねェ
なんたって五条がまりんを好きと自覚するシーン、まだ来てないじゃない!
両片思い突入演出という、こんな盛り上がり所を飛ばすとも思えない
まだ好きだのどうこうって次元じゃない気がしちゃうんだような…
もし恋の自覚があのタイミングであの表現なら、作者も天命とかで頭を大分やられているなあと思わなくもない
陰鬱な事書いてたから作品の空気も暗くなってしまっているよ…
まあ答え合わせは次巻ってことだろう
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この巻は★4でした
終わり